「抗議文」(東電代理人の反対尋問について)
平成29年5月29日
東京電力ホールディングス株式会社訴訟代理人 殿
福島原発被害救済新潟県弁護団
弁護団長 遠 藤 達 雄
事務局長 近 藤 明 彦
抗 議 文
1 新潟地方裁判所平成25年(ワ)第376号等損害賠償請求事件の平成29年5月19日の第17回口頭弁論期日の本人尋問期日において、被告東京電力ホールディングス代理人(以下、「被告東電」「被告東電代理人」という。)は、反対尋問の際に、証言をした原告の孫である原告の氏名を明かした質問を行った。
2 原告本人らの氏名、住所について、当弁護団は「閲覧制限の申立て」をしている。また、本人尋問の期日にあたっては、進行協議期日等において、原告らや家族の氏名、住所、勤務先、学校名等原告ら個人の特定係わる事項を明かさない旨、裁判所及び当事者を含めて合意しているところであり、被告東電代理人の質問は上記の合意に反するものである。
これは、本件訴訟の内容及び性質に照らし、原告らが特定され、本件訴訟に関与していることが広く公開された場合、原告らの家族及び福島県内に居住する知人等から、いわれのない誹謗中傷を受けるおそれがあるためである。特に、避難している子どもをめぐる「いじめ」などが生じた場合は、回復し難い損害が生じるおそれすらあり、原告らが特定されることにより、社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある。
言うまでもなく、避難者がおかれている現在の状況は被告東電が生み出したものであるが、尋問期日において被告らから、原告らの氏名、住所、勤務先、学校名等の個人の特定に係わる事項が明らかにされることによって、2次被害,3次被害が生じることは絶対に避けられなければならない。
4 今回、被告東電代理人が、反対尋問において原告の実名を明かした質問を行ったことは、当弁護団として大変遺憾であり、ここに厳重に抗議するとともに、今後、同様の事態が生ずることがないよう強く要請する次第である。