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2017年4月

2017年4月 7日 (金)

今村雅弘復興大臣に対する抗議文

2017年4月7日

 

 

       福島原発被害救済新潟県弁護団 

             団長 遠 藤 達 雄

 

今村雅弘復興大臣に対する抗議文

 

1 2017年4月4日,今村雅弘復興大臣(以下,「今村復興大臣」といいます。)は,記者会見での避難指示区域外からの避難者(以下,「区域外避難者」といいます。)に対する応急仮設住宅の無償提供打ち切りに関する質疑応答の際,区域外避難者について,「それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう。」(自己責任かという質問に対して)「それは基本はそうだと思いますよ。」「裁判だ何だでもそこのところはやればいいじゃない。」などと発言しました。

2 しかし,区域外避難者は,原発事故による放射能汚染による被ばくのリスクを回避するために,やむにやまれず避難したのであり,自由な意思のもとで避難したのではありません。そして,多くの避難者がまともな賠償を受けられないまま苦しい避難生活を続けています。そして,2017年3月17日の前橋地裁判決は,原発事故について,東京電力だけでなく,国の加害責任を認めました。さらに同判決は,避難区域の内外を問わず,避難をし,避難を継続することの合理性を認めています

  つまり,裁判所は,国が原発事故の加害者であることを認めているのです。加害者たる国が被害者に対して,「自己責任」であるなどと述べる資格はなく,その発言が,最も被災者に寄り添うべき立場にある「復興大臣」によってなされたことは,不見識極まりないものと言わざるを得ません。国のこのような態度こそが,差別や偏見を助長し,避難者をますます苦しめ,帰還を困難なものとしていることを思い知るべきです。

4月6日の朝日新聞デジタルによる報道によれば,今村復興大臣の発言があった翌5日,新潟市の避難者の支援施設に「大臣の会見を見た。自主避難者は帰ればいい」という電話があったとの報道がなされています。今村復興大臣の発言によって,現に,区域外避難者はますます困難な状況に置かれています。

3 今村復興大臣の上記発言は,あたかも避難元が安全・安心であることを前提としています。

 しかし,避難元においては,現在でも福島第一原発から放出される放射性物質が飛散しており,除染も遅々として進んでおらず,山林等の除染が行われないなど,除染の効果自体が不十分であったりしていることに加え,街中にはフレコンバッグに入ったままの除染廃棄物が無数に積み上げられています。避難元で今も生活している多くの人々は,日々放射性物質と隣り合わせで,不安を抱えて生活をしているのです。

4 今村復興大臣の上記発言は,福島原発事故の被害実態を全く無視したものであり,区域外避難者のみならず,全ての原発事故被害者を愚弄,侮辱する暴言です。復興大臣として,あまりにも無責任であり,その資質がないものと言わざるを得ません。

今,国が率先して行うべきことは,被害者の切り捨てではなく,前橋地裁判決で東電とともに全面的に責任を負うとされた加害者として,被害が今も続いている現状を直視し,被害実態を踏まえた賠償や生活再建のための諸施策を実施することです。

加害者である国が区域外避難者への応急仮設住宅の無償提供を打ち切るなど原発事故被害者に対する棄民政策を進めることは,重大な人権侵害と言わざるを得ません。

5 当弁護団は,この今村復興大臣の暴言に対して,厳重に抗議するとともに,直ちに復興大臣を辞任することを求めます。そして,国の加害責任を真摯に受け止めて,区域外避難者に対する応急仮設住宅の無償提供の打ち切り撤回と生活再建に適った賠償を直ちに実施することを強く要求します。

以上

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