賠償をめぐる動き

2013年3月28日 (木)

区域外避難者(自主的避難者)の和解の記者会見を行いました。

本日12時より、弁護士会館2階会議室にて、記者会見を行いました。

当弁護団の担当する区域外避難者案件での和解について公表しました。
今回、3世帯10名方が和解しました。詳細は以下のとおりです。
【概要】
請求書で支払われるもの(=東電の認める額)は、
合計約360万円でしたが、今回の受領総額は約515万円となりました。
東電の請求書で支払われる損害は「避難費用、生活費増加費用、精神的損害」
をまとめて8万(大人)、60万(妊婦、子ども)となっていますが、
ADRでは具体的な実費を主張し、
さらにそれ以外の就労不能損害等についても主張し、一定程度は考慮されたといえます。
もっとも、平成23年分について、東電基準を超えるものではない
として定額にとどまった例もあります。
【和解の問題点等】
まず、和解案が昨年12月頃から提示されてきましたが、
結局和解までに10か月程度かかってしまいました。
また、面会交通費が定型的(月2回まで)等、硬直的な運用がみられます。
さらに、子どもに対して支払われる分が無条件で控除される運用がなされています。
子どもの人数にもよりますが、子どもが数人いる場合、
ADRでの上積みできる額が低額になる傾向にあるといえます。
中間指針の考え方を避難者に不利に解釈、運用していると評価することもできます。
【和解についての弁護団の評価】
いずれの申立人も納得したものではなく、
待たされたあげくの苦渋の決断でした。
そこで、本和解において、回数が限定された面会交通費や
精神的損害については清算条項をつけず、
特に慰謝料については別途訴訟提起も可能性を残せるものとしました。
結論としては、
「直接請求よりも受領できる可能性は十分にあるが、決して満足できるものではない」
と言えると思います。

2012年9月16日 (日)

お詫びとお願い

●「弁護士に相談したけど、その後連絡がない」

●「ADRを申立てたけどその後連絡がない」


  という皆様へ


弁護団事務局です。

現在、原発事故に基づく損害賠償については、

①直接請求(請求書)による方法
②ADRへの申立て、
③訴訟という方法がありますが、

ADRの手続については、
ADRの人員不足等のため、当初の予定よりも大幅に手続が遅れている状況です。

そのため、ADRについてご相談された方々から、
「弁護士に依頼したけど、何も連絡がない」
というご連絡を頂いております。

全ての方に対して、すぐにご連絡、ご案内等の対応をすることができず、大変に申し訳ありません。

鋭意努力いたしますので、何卒ご理解をお願いいたします。

なお、相談内容、ご依頼内容の点につき、ご不明、ご相談等ございましたら、
弁護団事務局(025-222-9515)まで遠慮なくご連絡下さい。

2012年7月23日 (月)

政府が「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」を公表しました。

政府が「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」を公表しました。

本来であれば,裁判所(司法)が決めるべき賠償基準ですが,
原賠法に基づき「原子力損害賠償審査会」(あるいは原紛センター)が定めるべき
賠償の指針ですが、様々な経緯で経済産業省が賠償基準を公表したようです。

賠償問題について,一つの大きな節目を迎えているように思います。

http://www.meti.go.jp/press/2012/07/20120720001/20120720001.html

2012年7月 6日 (金)

原発ADRの「総括基準」ー基準9,10について

本日,原子力損害賠償紛争解決センターが以下のとおり総括基準を公表しておりま
すので,お知らせいたします。

「総括基準」とは、
原発ADRを申立てた場合に、「このような基準で考えます」というルールで、
申立てた人に共通する大事なルールについては、このように基準として公表しています。

今回は
①遅延損害金

②直接請求
との関係について公表されました。

まず、①遅延損害金についてですが、
簡単に言うと
「東京電力側の代理人が締め切りを守らなかったらその場合は遅延損害金5%をつける」
というものです。

これで、少なくとも、相手方からの書面が遅れたりすることによる
審理の遅れは少なくなることが予想されます。

次に、②直接請求との関係ですが、
請求書で出した場合は、一定程度の賠償金が受け取ることができます。

これに対し、ADRではあくまで
「それを超える分についての実質的な審理」を行いますよというものです。

請求書よりも低い和解案になるなら誰もADRなんて申立てをすることはなくなるからです。

詳しくは下記HPをご覧ください。


基準9 加害者による審理の不当遅延と遅延損害金について
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/07/06/1316595_14.pdf

基準10 直接請求における東京電力からの回答金額の取扱いについて
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/07/06/1316595_15.pdf


(原紛センターHP)
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1310412.htm

2012年6月20日 (水)

それ本当に大丈夫?~消費者トラブルに気を付けて~


福島第一原発事故による放射能被害による影響は、私たちの生活全般に及んでいます。
最近は、除染や、放射能予防をうたった「放射能商法」とも言うべき消費者被害が起きていますのでご注意ください。

「独立行政法人国民生活センター」には、放射能関連の相談が多く寄せられていますが、
放射能関連といっても、「放射能汚染」に関するものだけではありません。
「除染」、「予防」等をうたって勧誘し、不当に高価な商品を購入させるものや、
「復興支援」名目での社債などへの金融商品への投資を勧めるといった、
原発事故に便乗して勧誘する消費者トラブルが目立ってきています
(詳しくは国民生活センターのHPをご覧ください)。

子どもを心配する親や、高齢者に話を持ちかけ、
その不安感や親切心につけこんで購入を迫っているような事例もあり、非常に悪質です。
また、一旦購入したことをきっかけとして、次々に不安をあおられ、
その結果多額の商品を購入させられたという事例もあります。

放射能被害から子どもを守ろうとする方々の不安感や恐怖感につけこむような勧誘などは絶対に許されません。少しでも不安に感じたら弁護士までご相談下さい。
相談料は無料です(福島原発被害救済弁護団 025-222-9515)。

2011年12月23日 (金)

東電に対する請求の方法

現在、福島第一原発事故による損害賠償請求としては

①「直接請求」する
 (請求書の利用を含みます)

②原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)へ仲介の申立てをする。
 (「仲介委員」によって、和解の仲介がなされる手続です)

③裁判
 (裁判所に対して民事訴訟を提起します)

という3つの方法が考えられます。

それぞれの方法については、概ね以下のような違いがあります。
(*もっとも、個別具体的な事情により、異なります)

(受領できる金額) ① < ② < ③ 
(解決までの時間) ① < ② < ③ 

つまり、
「法的な手続」を利用すれば
受けとる額は増加する可能性が高くなりますが、
解決までの時間を要する傾向にあるといえます。
(*それぞれの方法の長所、短所については、改めてご説明いたします。)

どの手段をとるのか最善かどうかは、被災者の方の具体的な事情、状況によります。
まずは、ご相談下さい。

2011年12月14日 (水)

福島原発事故:弁護団、「完全な賠償」東電に集団請求へ

福島原発事故:弁護団、「完全な賠償」東電に集団請求へ
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111214k0000m040048000c.html

 福島県内と首都圏の弁護士グループでつくる「福島原発被害弁護団」は13日、東京都内で記者会見し、原発事故の被害者を数百人規模で集め、来春にも東京電力に完全な損害賠償を求めて集団交渉を申し入れる方針を明らかにした。
 弁護団は10月、原発被害者から損害賠償請求に関する相談・依頼を受ける目的で、同県いわき市と東京の2カ所を拠点に設立。約50人で相談に応じてきたが、国が指針で示した賠償額への不満が多く、東電に対する集団交渉に向け準備を進めることにした。
 弁護団は警戒区域などから避難し最も深刻な被害を受けた人の損害基準として、避難生活を続けている人については避難費用と生活費の増額分、休業損害や逸失利益に加え、慰謝料の基本額を1人当たり月額50万円と想定。結果的に帰還が困難となる人には失った財産の時価、減収分などに加え、慰謝料の基本額を1人当たり2000万円と設定した。
 集団交渉には既に100人を超える被害者が加わる見通しといい、弁護団の小野寺利孝・共同代表は会見で「個別の直接請求やADR(原子力損害賠償紛争解決センターによる裁判外の手続き)の利用にも限界があり、1人で裁判を起こすのも不可能に近い」と発言。「公開の場で東電側に統一要求を行い、合意できなければ司法手続きに移る」と、最終的には損害賠償を求め集団訴訟を起こすことも示唆した。
 弁護団は今後も福島県内や首都圏で説明会・相談会を実施する。問い合わせは現地(いわき市)事務局(080・2821・1801か080・2821・3404)▽東京事務局(03・5812・4671)。【伊藤一郎】